「ツケマがぁ」とか「カラコンがぁ」とか、駅の化粧室で頑張っておめかしする同い年くらいの女の子。
キャイキャイと楽しそうにしてるのを横目に、軽くヨレたファンデーションを直しつつ、何もしてない私の方が可愛い。プチ優越感に浸る。
駅のトイレを後にして、颯爽の街中を歩く私は、さぞ絵になっている。
イケメンサラリーマンに凝視され、私の顔に何か付いてるのかという疑問が生まれるより先に、己の容姿の良さを過信する。
男二人組に、すれ違いざまにあのこ可愛いなと言われれば、
横目で流しつつほくそ笑む。
かと思えば、朝の通勤ラッシュの電車内、ふと窓に浮腫みパンパンの顔が映り込む。私ブスだなぁと自分自身に失笑。
その後、駅のホームで美人を見かけて、何でもない私は凡人だと実感する。
多分勝ってるんだよなぁ、て時は大体負けてる。負けたと思ったときは、もちろん敗北。誰がどう見ても絶対勝ってるという自信が揺るがない時、何も考える事なく自然と下に見ている時、勝利している。
だけど、その勝利に価値は、ない。